天使こども園ニュース

こどもの眼 7月号 園長 早川 成

  • 2025.07.25
  • 園長

「こどもの眼」
~ ひき算よりもたし算で ~ 

園長 早川 成

5月のある日、1年生になった卒園児に会いました。
「学校どう?」と聞いてみると、首を振ってうつむきます。
「面白くないと?」と聞くと、「面白くないし、楽しくない…」とひと言。
理由を聞いてみると、「外で遊べない。」「遊んでいてもチャイムが鳴ったら中に入らんといかん。」「草がたくさん生えているのに、ダンゴムシを探せない。」ということでした。
在園中、観察ケースを覗き込みながらどれだけその子とやりとりしたことでしょう。
私は、そんな日々を思い出しながら、「せっかく広いのに遊ぶ時間がないかぁ。それは辛いねぇ。小学校は授業があるしねぇ…。」と同情しましたが、表情をよく見るとそんなに落ち込んでいるわけでもないようです。
呆れた顔で「楽しくも面白くもない!」とぼやく手厳しい評価がおかしくて、「たくましくなったもんだ」と、頼もしくさえ思いました。
卒園の時、「来年も園にいたらいいやん」と、いくら引き留めても、「イヤだ!小学校行く!」と言っていた子ども達。〝早く勉強したい!〟と楽しみにしていたのに、いざ行ってみたら〝遊べない、時間がない〟と、満たされないことばかりでは、元気がなくなってしまいます。
子ども達は、置かれた環境がガラリと変わるとき、それまでと比べて失うものやできなくなることを「ひき算」して不安や緊張を感じてしまいますが、そんなときには、新たにできることや得るものを「たし算」で伝えることができればと思います。
年長組のキャンプを例にあげると、「お家じゃないんだからね!」「お母さんはいないんだよ!」だと不安になりますが、「どんなところかな?」「何して遊ぶのかな?」、「お友達と一緒で楽しいだろうね!」とプラスの声をかけた方が、少しは元気が出ると思います。
園にはなくて小学校にはあるもの、園ではできなかったことが、小学校だとできることもきっとあるはず。
それを探してみるのもいいのではないかと思います。
天使には、好奇心旺盛で元気もりもりイケイケタイプの子もいれば、何にでも慎重で、じっくりゆっくりマイペースな子もいます。
タイプは一人ひとり違いますが、園では様々な出来事を経験し、それぞれに〝地力〟を身に付けて卒園していきました。
この先、その子その子の個性に合った「たし算」をしながら、夢中になれることをたくさん見つけ、毎日を楽しんで欲しいと願っています。
同じくある1年生の男の子が、悩みや不安を抱えながらも、卒園式でもらった鉛筆を励みに頑張っているとお母さんが教えてくれました。
筆箱の中に並んでいる〝一番短い鉛筆〟に、その子の踏ん張りと地力の強さを感じています。

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