天使こども園ニュース

こどもの眼 4月号 園長 早川 成

  • 2025.05.12
  • 園長

~ ぼくは ワニガメが すきです ~ 

園長 早川 成

今年のお正月に届いた卒園児からの年賀状の話です。
1年生もあっという間に3学期を迎え、4月には2年生になるという時期ですが、社会見学で動物園に行ったときのことがイラスト入りで書かれていました。
園では、自他ともに認める虫博士で、昆虫に限らず生き物が大好きな子でしたので、動物園ではさぞかし楽しんだことでしょう。
大喜びの表情や興奮した様子が目に浮かびます。
報告の最後に、「ぼくはワニガメが好きですが、先生はどの動物が好きですか?」と聞いてくるところが、その子の真骨頂で、園で毎日のようにいろいろな話題で会話を楽しんだことが懐かしく思い出され、とても嬉しくなったのでした。
さて、この年賀状に私は「園長先生はナマケモノが好きです。」と返事を書きました。
ちょうどその頃、何かの記事で「ナマケモノ」について知った私は、その生態に興味を持ち、大ファンになっていたのでした。
ご存じのように、ナマケモノは木の上でじっとして動かず、名前の通り何もしないで一日中眠ってばかりいます。
でも、それが実は敵から身を守るためだというのです。
南米の熱帯林で暮らすナマケモノが、天敵であるジャガーやワシに襲われることを防ぐには、見つからないように木に擬態して隠れる、つまり〝逃げられないから逃げない〟〝逃げる場所がないので動かない〟という生きるための戦略なのだそうです。
また、一日に20時間も眠り、100m歩くのに1時間もかかるゆっくりした動きは体力を消耗せず、食事の量も1日8g(塩大さじ半分)と、少なくて済みます。
他にも、毒性のある葉っぱを食べるので他の動物との競争がなく早く動く必要がないとか、更に、動かないので体にコケが生え、それを食べて生き延びているとか。
しかも、そのコケはナマケモノの糞を餌にしている蛾が体毛に寄生し養分を与えて育てているというのですから、ただ者ではありません。
数週間に一度だけ木から降りて排泄をするのは襲われる危険もあり命がけですが、蛾と共生して生きるためには必要な行動だというわけです。
怠けているようでよく考えているし、何もできないようでとても頑張っている感じがして何とも魅力的です。
勝つため、生き残るために早さや強さを競い合う社会は、子ども達に「できること(能力)」や「わかること(知識)」を過度に求めます。
そんな中で育てられる子ども達は、楽しみを見つけ、仲間と育ち合い、自分らしさを磨く時間をどんどん奪われてしまっています。
ナマケモノの顔を眺めていると「生き方って、もっといろいろあっていいんじゃないかなぁ…」「ぼくはこんな感じなんだけど、君は?」と、言っているように見えてきます。
新年度の最初にナマケモノの話で恐縮ですが、子ども達には弱みや苦手を嘆くのではなく、持っているものを活かし、自分なりの楽しみを持ち、時にはチャレンジしながら育って欲しいと思います。
この一年、いっぱい遊び、うんと話をしながら、「〇〇が好きです!」をたくさん見つけましょう!
どうぞよろしくお願いします。

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