天使こども園ニュース

こどもの眼 1月号 園長 早川 成

  • 2025.01.09
  • 園長

「こどもの眼」
~ AIの時代に… ~ 
園長 早川 成

皆さま、新年あけましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしでしたか?
年明けの初出勤日に、職員室にやってきた子が、「ホテルに泊まったよ。ビンゴゲームで優勝したんだよ。」と教師たちに報告していました。
私は机に向かいながら、「旅行に行ったんだな。ビンゴゲームで盛り上がったってことは、きっと家族だけじゃないな。おじいちゃんやおばあちゃんと一緒かな?それともお友達が集まったのかな?どちらにしても、さぞかし楽しんだんだろうな…」と、いろいろ想像し、ほんわりとした気持ちでニコニコと聞いていました。
朝から降っていた小雨が上がったようで、園庭から子どもの声がしてきました。
外に出ると、子ども達が次々に走り寄ってきましたが、そのうちの一人の子が突然ポツリと言いました。
「ボク、お仕事好かん。だって、疲れるもん…。」
初出勤日の緩んだ気持ちを見透かされたようで、ついつい「わかるわかる。仕事って疲れるんだよね!」と相槌を打ってしまいそうでしたが、私が「遊ぶのは好きなんやろ?」と言うと、「うん、遊ぶのは好き。楽しいもん!」といって走っていきました。
こちらの報告も、「年末に家の大掃除でも手伝わされたのかなぁ?」と想像するとクスっと笑えてきて、本人には申し訳ないのですが、それはそれで私にとっては楽しい冬休みの報告になりました。
さて、私の年末年始はというと…。
買ったまま読んでいない本を1冊でもいいので読む。
TVや映画の溜まっている録画を観る。洗車をする。
体を動かして歩く。
薪割りをする。
散髪に行く。
職員室のデスク回りと園長室の片づけをする。
こどもの眼の原稿を仕上げる
…という目標を掲げていたものの、洗車は外装の水洗いのみ。
歩いたのは1回1時間だけ。
薪割りも3~40分コンテナ4個で終了
…と、たったこれだけで、相変わらずの計画倒れ。
「一年の計は元旦にあり」とは程遠い過ごし方でしたが、まぁ言ってみればいつもどおりの冬休みですので、それもまた良しとすることにします。
 とはいえ、毎年元日の朝に届く新聞には、できる限り隅々まで目を通す習慣があります。
過去の歴史を振り返り、我が国の現状を分析したり、未来を予想したりするような記事が多く、現在の自分の立ち位置を知り、今後の在り方について考えることができるからです。
昨年もそうでしたが、今年もAIの普及に関する記事をたくさん目にしました。
その中でも、「AIが才能を発掘する」という見出しが目を引きました。
欧州のサッカークラブで、これまでスカウトの〝目利き〟頼りだった有望な選手の発掘をテクノロジーに委ねるAI(人工知能)スカウトが広がっているとのこと。
現在、三苫選手が所属する英国サッカープレミアリーグのブレイトンがその先駆者なのだそうです。
三苫選手にはJリーグの川崎時代から注目していたようで、AIの分析では全ての能力項目に最高の評価でオファーがあり、強化部や監督、経営陣が映像で三苫のプレーを確認し、誰も生のプレーを見ないで獲得を決めたとあり驚きました。他にも、超一流のアスリートに限らず、映像から骨格を認識し動きを推定するAI技術を応用したシステムでは、測定結果からその人に適したスポーツを提案する。
あるスポーツメーカーではオンライン上のカリスマ店員が最適なシューズ選びを手伝ってくれる生成AIを活用した取り組みが進められているなどの事例が紹介されていました。
そんな記事を読んで、合理的で効率の良いAIの進化に感心する一方で、人それぞれの感じ方や考え方の違いがどう評価されるのかを考えると、ため息が出る思いがしました。
私の目の前にいる子ども達は、正しいか間違っているかより面白いかどうかを優先しますし、必要かどうかよりもやりたいかどうかを大切にする世界に生きていたりするからです。
天使の子ども達には、ナビゲーションシステムに案内されるまま、迷わずに目的地にたどり着くような旅ではなく、まずは地図を広げて仲間と一緒にのぞき込み、あっちに行ってみようか?こっちも面白そうだ!と、ドキドキわくわくしながらの冒険の旅を楽しんで欲しいと思っています。
3学期の始園日、どんな顔をしてやって来て、どんな話しをしてくれるのかを楽しみにしています。
冬休み明けの思い出と言えば、随分前のことですが、ある年長さんのお母さんからのお話で、経験のために子どもを連れてお年玉を銀行に預けに行ったけれど、自分のお金が人に取られるのがどうしても納得できず、怒ってしまって困ったという報告があり笑ったことを思い出します。
また、これは確か夏休み明けのことだったと思いますが、一人の子がアメリカに行ったと言い出したら、僕も私もと次々に知っている国を言い合って外国に行った自慢をし始めたことがありました。
もちろん、そんな事実はなかったのですが、そんな時に一人の子が「私はお父さんと公園で遊んだのが楽しかった…。」と嬉しそうに教えてくれ、ほっこりした気持ちになったことがありました。
AIはこれからどんどん進化し日常的にも使われるようになると思いますが、子ども達には、データに導かれて、言われるがまま、自分が経験していないことまでも、教えられた言葉で語るようになってほしくありません。
見たまま、感じたまま、思うままに、自分が実際に経験したことを、自分の知っている〝ことば〟で伝え合うことを大切にして育っていって欲しいと思います。
新しい価値観やAIには答えられない問いを見出しながら、人間性豊かに成長して欲しいと願っています。
年度末に向けて、いよいよまとめの3学期です。何気ない日常の出来事や、ほんの小さな一言ひとことを疎かにせず、子ども達や保護者の皆さんと話をする時間を大切にしたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

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