こどもの眼 10月号 園長 早川 成
「じぃじはどうしてお山の近くで暮らしてると?」と、遊びに来ていた孫(5歳・年長さん)が聞いてきました。
面白いことを聞くなぁと思いながら、「お山が好きだし、小鳥も飛んでくるし、お庭で焚火もできるからね。」と答えると、「ふ~ん。」と納得しているようでした。
その後、一緒に川遊びに行った時に、近くにキャンプ場があったので寄ってみました。
「なかなかいいキャンプ場やね。広いし、人も少なそうだし。」とばぁばに話しかけると、傍にいた孫が「じぃじはここで暮らしたいと?」と聞くのです。
そのまた帰りに寄った家の近くの温泉では、露天風呂につかりながら「やっぱり温泉は気持ちいいねぇ。お風呂が広いのっていいよね。」と私が言うと、「じゃあじぃじ、ここで暮らしたらいいやん。」と言うのでした。
小さい頃は、私を見ると固まり、近づくと激しく泣き叫ぶ程人見知りが強かったのですが、いつどこでスイッチが入ったのでしょう。興味があることや気になることがあると、ひっきりなしによくしゃべるようになりました。
質問責めに合うと面倒くさくて適当に返事したり、あれしてこれしての注文が多いと、いい加減にしろと叱ったりもしましたが、それにしても、住む場所や、人の〝暮らし〟に興味があるというのは、どういうことでしょう?
いったい何が気になり、どんな思いでいるのか、5歳児の心の中にある本当の〝きもち〟を覗いてみたいと思いながら、やりとりを楽しみました。
話は変わりますが、子ども同士のやりとりで、「かしてぇ」「いいよぉ」や、「ごめんね」「いいよ」と言い合っている場面を目にされたことはありませんか?
見ていると、「たった今使い始めたばかりのおもちゃなのに譲っていいと?」「謝ってる子も、いいよって言ってる子も、めっちゃ怒っとるやん!」と、突っ込みたくなります。
大人が解決を急ぎ、譲り合うことや仲良くすることが大切だと説き、ケンカやトラブルは良くないこと、避けるべきことだと教えてきた影響ではないでしょうか?
当園では、仲介はしても仲裁を急がず、子ども同士のスッタモンダを見守るよう心掛けてきた結果、表面だけの仲直りはあまり目にしなくなり、気持ちを伝え合い、話し合う姿が増えているように思います。
随分前のことですが、お友達とケンカになる度に、すごい迫力で「絶対ゆるさん!」「二度と遊ばん!」と相手を睨みつけていた女の子がいたのを思い出します。(もちろんすぐに一緒に遊び始めます)
今、子ども達は自分の思いばかりを主張する「オレさま」の時期を過ごしています。
そして、衝突や失敗を繰り返しながら、少しずつ「お互い様」であることを学んでいくのです。
すでに「お陰様」で生きる年齢になった私は、子ども達が〝本当のきもち〟をしっかりと出せるように、言い分や言い訳をしっかり聞き、受け止めることに一生懸命でいたい…と思っています。
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