げんきワールド 体育講師 手嶋和仁(げんきスポーツ)
年長さんと縄跳びをしていた時の話。前跳び、後ろ跳び、走り跳び…と少しずつ新しい跳び方をやっていくのですが、ある男の子が“前跳び”が、続けて跳べるようになり喜んでいたので「すごいやん!上手になったね!」と声をかけると「うん!!」と満面の笑みで返事をしてくれました。
「縄跳びって、いっぱい引っかかって上手になるとよ!ずっと引っかかったら嫌になったり、もうしたくないっ!て思うかもやけど、引っかかれば引っかかるほど“縄跳びパワー”が上がっていくとよ!そしていっぱい跳べるようになるとよ!」…毎年、年中さんにも年長さんにもこんな話をします。
「よ~し!今日もいっぱい引っかかるぞ~!」と僕が言うと最初のうちは「え~っ?」という感じなのですが、何度か言っているうちに「お~っ!!」と腕を高く上げてくれるようになります!
…とはいえ、やる気になったものの、周りのお友達がびゅんびゅん跳んでいるのに自分は上手く跳べないと、やっぱりだんだんやる気もなくなっていくわけでして…次第に跳ぶのをやめて座り込んでしまう子、泣き出してしまう子、縄跳びを放り投げてしまう子…と、縄跳びをしなくなる子も年中さんにはちらほら…
先に出てきた男の子は年中さんの頃、縄跳びが苦手で毎回大泣きしながら縄跳びをしていました。
大泣きはするのですが、そこで縄跳びを辞めず、泣きながらでも僕の声かけにうなずき、何度も何度もチャレンジする姿がとても印象的でした。
結局、年中さんの間は続けて回して跳べるようにはならなかったのですが、年長さんになり、縄跳びがあった時に、ぐるぐると縄を回しニコニコの顔で跳んでいる男の子を見つけ声をかけたのでした。
嬉しそうに前跳びを跳ぶ姿が何とも可愛くてをしばらく眺めていました。その後、後ろ跳びが始まったのですが、ここでその男の子、大苦戦!何度やっても縄を回すタイミングとジャンプが合わず、中々跳べません。
「さいしょは回してジャンプは後から!回してピョンよ!」と声をかけると「うん!わかった!」と答えますが、やっぱり上手くいきません。しかし、半べそをかきながらも諦めずに何度も何度も引っかかりながらもがんばっていました。
その様子を見ていたお友達が教えに行きます。それを見ていた別のお友達も「こうすればいいとよ!」と、どんどん子ども達が集まってきます。みんなの優しさがあふれている光景なのですが、5人も6人も一斉に自分流の教え方をしてくる“小さな先生達”に困惑気味の男の子(笑)でも、そのおかげか、縄跳びの時間が終わる頃には後ろ跳びが2回続けて跳べるようになっていました!
「お~っ!!すごいやんっ!やったね!!」と、声をかけると、「うん、がんばったら跳べた!ありがとう!」と、キラキラの顔で答えてくれました。その日は公園での体育教室だったのですが、園までの帰り道も終始ニコニコの表情の男の子。たった2回?いいえ!されど2回!!がんばってがんばって跳べるようになった喜び、達成感、お友達が教えてくれたこと…きっとすべてがこの男の子にとってすばらしい経験になったはず。それが表情に溢れていました。
園に到着し、こども達が給食の用意をしているときに、年長さんの部屋の前を通りかかると、先ほどの男の子が部屋からタタッと出てきました。「ん?どうした?」と、聞く間もなく「今日はありがとうっ」と、わざわざお礼を言いに来てくれました(泣)嫌なことも疲れも吹っ飛ぶ、嬉しくてありがたい言葉でした!
そして、その男の子の成長を十分すぎるほど感じることが出来た幸せすぎる出来事でした。
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