天使こども園ニュース

こどもの眼 3月号 園長 早川 成

  • 2024.03.06
  • 園長

「こどもの眼」
~マシュマロとミミズ ~ 
園長 早川 成

「園長せんせ~!」
「なんしよるとーっ?」
「どこいくと~?」
「ちょっときて~!」
いつもいるのに、今朝も会ったのに、私を見つけると大喜びで声をかけてくれる子どもたち。
こんな〝もて期〟が還暦を過ぎても続いていることを本当に幸せに思います。
先日、一人の女の子と「見て!手紙書いてきた!」「おっいいね!手紙って嬉しいよね。」と話をしていると、そばにいた子が誰にともなく「私、忙しいけん手紙書くひまないんだよねぇ…」とポツリとつぶやくのが聞こえ、クスっとしてしまいました。
また、トイレに向かう廊下では、「あっ園長先生!トイレ行くと?」「うん、そうだよ。」「うんち?」「そう、うんち…」と微妙な会話の中で、つい真面目に答えてしまったことが我ながらおかしくて笑ってしまいました。
子ども達の中には、伝えたいことや気になることがとにかくいっぱいあるのがよくわかりますね。
コミュニケーション意欲旺盛で、人懐っこく、気持ちを愉快に表現してくる子ども達に、毎日大いに楽しませてもらった一年でした。
さて、ある時森で子ども達と焚火をしていると、一人の子が「マシュマロ焼きた~い!」と言いました。
私が「棒に刺して焼くとおいしいんだよね!」と言うと、「うん。キャンプでやったことある。食べた~い。」と言って笑っていました。
しばらくすると、今度は男の子が大きなミミズを握りしめてやってきました。
「わぁ山ミミズ、でか!」と私が言うと、「園長先生、このミミズ焼いていい?」と言うのです。
さぁ、皆さんだったらどうしますか?
良いことか悪いことかを問われるとミミズを焼くのはNG?
マシュマロはわかるけど、ミミズを焼くってヤバい!でしょうか?
私が注目したいのは、マシュマロを焼くのもミミズを焼くのも、どちらもその子の興味関心だということです。
違いは、マシュマロは焼いて食べたことがあるのでやりたい、ミミズはやったことがなく、どうなるか見てみたいという発想が違うのだと思います。
こどもって、経験があることを繰り返しやるのを楽しむ子もいれば、経験がないことをやってみるのが好きな子もいます。安心が嬉しいタイプと、ドキドキが楽しいタイプと言ってもいいかもしれません。
更に「ダメに決まってるでしょ!ミミズを焼くなんてなんてこと言うの!」と叱られたとしても、「やってはいけないことだ」と認識する子と、「いつかやってやる!」とますます興味が強くなる子がいるのです。
年度の最後にミミズの話で恐縮ですが、私が一年の締めくくりに力を込めてお伝えしたいのは、〝経験と教育〟の質が、子どもの「育ち」に大きく影響するということを私たちそばにいる大人がしっかりと共通理解しておきたいということです。そして何より、子どもは一人ひとりみんな違うということも忘れずにいましょう。
マシュマロとミミズとどちらが正解とか、ミミズの子をどう教育するかということではなく、ミミズにはミミズにあった関り方が必要ですし、マシュマロにもマシュマロ以外の経験が必要かもしれません。
楽しくて素敵なこども達と一緒に、予定調和ではない、個別最適な保育を、これからも追及していきたいと思っています。一年間、どうもありがとうございました。

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