天使こども園ニュース

こどもの眼 11月号 園長 早川 成

  • 2023.11.08
  • 園長

「こどもの眼」
~ジャンプがしたい!~ 
園長 早川 成

卒園児(1年生)が遊びに来ました。
お母さんから最近学校に行きたがらなくなっていると聞き、「遊びにおいで!」と伝えてもらっていたのでした。
職員室に入ってくると、以前のように私の机のところにやってきました。
「久しぶり!元気やった?」「うん」と挨拶を交わし、椅子を並べて話をしました。
最初は学校のことには触れず、「背が伸びたね!」とか、「毎日何しよる?」とか、話をしていると、「ボクね、校歌うたえるよ。」と言って最後まで歌ってくれました。(私も卒業生ですので知っている校歌です。)
「すごいね。全部間違えずに歌えたやん!」と私が驚くとスイッチが入ったようで、学校の話題が次々に飛び出します。
好きな勉強は、「図工、音楽、体育と生活科でパソコンを使う勉強」
「苦手なのは算数と国語とパソコンを使わない生活科」
「一番好きなのは休み時間!」と話が弾みます。
「漢字も書けるよ!」と言って指で机の上に書いて見せてくれました。
「一、二、三、四(筆順はわからんけどね)、五、六、七、八、九(ひらがなの〝れ〟に似てるやつ)、十(たすと一緒、一はひくと一緒)」と、時々解説付きなのが面白くてたまりません。
「一週間も書けるよ。月曜日はツキ、火はヒ、水はミズ、木はキ、金は…(何やったっけ?カネじゃない?あっそうそうカネ)、土は…(あれ?何だっけ?ツチだね。そうツチ)、日はヒ」。
それから、大はこうやって、こうやって、こう(と言いながら書いてみせて)、〝大〟に一本入れると〝木〟になるよ。
…と、一生懸命に教えてくれました。
お母さんから、勉強がどんどん難しくなってきて、わからないのが辛いみたいだと聞いていた私は、彼の話を聞いていて、だんだん胸が熱くなりました。
だって、学校の話をするのがこんなに楽しいのです。漢字が書けるようになったことがこんなにも嬉しいのです。
そしてきっと、すごく頑張っているはずです。
その姿を思い浮かべると、彼のキツさや辛い思いが胸に迫ってくるのです。
私はとうとうそのこと触れてみることにしました。
「学校で嫌なことや、困っていることはある?」
「えっと…給食。減らしてもいいけど、食べれんときがある。味が苦手なんよね。」「あとは学童かな。」
「学童で嫌なことがあると?」「うん。学童はジャンプができん!」
「えっ?学童ってジャンプしたらいかんと?」と私が驚くと、「うん。2階やけん下の人がうるさいって怒られる。教室は飛んでもいいけど、学童は怒られるけんジャンプできん。」と彼。
そこで私が、「それは困ったねぇ。ジャンプ好きやもんね。学童でジャンプできんと困るやろ?」と言うと、「うん。でもね、階段のところはジャンプできるばい!」と言うのです。
私は、「そうか、ジャンプしていい場所もあるんやね。何かいい方法がありそうやん。幼稚園の時みたいに、皆で考えてみたらいいっちゃない?」と提案し、「困ったことがあったらまた話をしにおいで。どうしたらいいか一緒に考えよう!」と伝えて久しぶりの会話を楽しく終えました。
 子どもには、叱られても納得がいかず、嫌だと感じることがよくあります。
そんな時、我々はダメだと叱るだけでなく、気持ちをよく聴き、どうすればいいか一緒に考えることはできないでしょうか?
気付くことができ、考える力もあるのに、気持ちを封印して元気がなくなっていく子たちがとても多いのです。
そんな子たちと話をしてみると、どんどん眼の光が強くなっていくのがよくわかります。
勉強がわからないのが嫌で、給食が食べられなくて困り、ジャンプができないのが辛い子がいます。
飛びたがっている子どもは、もっと飛ばせてやりたいと思います。

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