天使こども園ニュース

こどもの眼 9月号 園長 早川 成

  • 2023.09.08
  • 園長

「こどもの眼」
~夏休みの宿題~ 
園長 早川 成

思い起こせば、夏休みの宿題を2学期が始まるまでに終わらせて、きちんと提出した覚えがありません。
毎年のように後悔し、次の年は夏休みに入るとすぐに完璧な計画を立てるのですが、気が付けば同じ結果を繰り返してきました。
好きなことはサッサとやるけど嫌いなことは後回しにしたり、何とかして避けて通ろうとする性格はそうそう変わるものではないなぁと改めて感じています。
と、そんなこんなで今年もまた、溜まった仕事を目の前にジタバタしながら9月を迎えています。
ただ、言い訳をすると、子どもの頃とは違って遊び呆けていたわけではないのです。
今年はコロナの制限もなく7回の研修に参加することができ、学びの多い夏休みとなりました。
研修を受けるたびに、教師とは学び続ける職業だとつくづく感じます。
宿題というのは、教師が出して子どもがするものだと思っていましたが、子どもから出された宿題にどう応えるかを考えるのが教師の務め。そのために、常に学ぶ姿勢が必要なのだと思います。
 この夏、私にとっての宿題は、「子どもの主体性を育てる保育とは?」ということでした。
当園は、皆が同じことを同じようにすることを求めない、いわゆる「自由保育」を目標にしていますが、そのことに対しては、「好きなことだけやらせていては勝手な子、嫌なことから逃げる子にならないか?」「自由にさせていて我慢やけじめは身につくのか?」「のびのびしすぎて小学校で困ることになるのでは?」という声を耳にすることがあります。
私の中では、感覚的にそうではないことは明らかです。
自由と好き勝手は違いますし、けじめは我慢ではないと思っています。
しかし、一斉保育と自由保育の違いをもっとしっかりと捉え、自由保育でこそ育つ力について、さらに学びを深めるために宿題に取り組みました。
その結果、研修では次のような言葉に出会いました。
「子どものやりたいことを見つけて育てるのが保育です。こどもを、しない・できないのマイナス面ではなくプラスで見ることが大事です。」
「嫌がっていることをさせるのは、不適切保育ではなく虐待です。」
「保育が不適切かどうかは子どもが決めます。」
「やりたいことだけをやらせるのではありません。何をどう育てるかが教育課程なのです。」
いかがでしょう?私達には子どもにこうなって欲しいと願うことをさせようとすることがあります。
これじゃいけないと思うときに叱ることもあります。
でも、その私達の願いや思いが〝その子にとってどうなのか〟を考える必要がありそうです。
させないとできないのか?叱ればしなくなるのか?
もっと違う方法や有効な手立てがないか、それを考えることが大切なのだと思います。
卒園児が小学校に入学後、「そろそろ(幼稚園に)戻ろうかなぁ」と言っていると聞いたのはまだ5月のことでした。
また、下の子の登園時に付いて来る子には、登校前にギュっと抱きしめてエネルギーをチャージしています。
ある時、その子が「あっ、今日は病院に行くけん学校お休みするんやった。」と戻ってきて抱きつき「返すね!」と注入したエネルギーを返還されました。
私はおかしくて笑いましたが、「毎日学校に行くのに、本当に元気を振り絞って頑張ってるんだなぁ」と心が痛くなりました。
環境に慣れず学校(園)に足が向かない子、登校(登園)していても自分らしさを発揮できていない子がたくさんいます(増えています)。
私を含め、教師と呼ばれる者は、そんな子ども達が出してくれる〝宿題〟をもっと真剣に受け止め、大切にし、そして全力で取り組まなければならないと思っています。

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