こどもの眼 2月号 園長 早川 成
こどもの眼 ~ しれっと… ~
園長 早川 成
去る1月14日、年長組の子ども達と保護者の皆さんでクリスマス礼拝をしました。
12月に予定されていた礼拝がコロナで中止になったため、その代替として「イエスさまの日」と銘打って行ったものです。
3学期にクリスマスを祝うのは当園の歴史の中でおそらく初めてでしょうし、私も経験したことがありませんので、礼拝の構成にも工夫が必要でした。
最初に紙芝居を見てイエス様の生涯に触れ、続いてチャプレンからキリスト教の考え方についてお話しを聞きました。
その上で、お母さん方の聖書朗読と子ども達のページェント(聖誕劇)を交互に繰り返してイエス様の誕生物語をシーン毎に味わいました。初めてのスタイルでしたが、新鮮で気持ちのこもった礼拝になったと思います。
季節外れではありましたが、クリスマスが「クライスト・マス」(キリストの礼拝)という意味であることを考えると、文字通り「イエスさまの日」のお祝いができたのではないかと思います。
それにしても、今回のページェントで印象的だったのは、子ども達の様子です。
12月の本番から一ヶ月も経っていましたし、例年3学期の始まりは冬休み明けで調子が戻らない子が多いので心配をしましたが、それぞれが持ち味を出し、声を掛け合い、支え合っている姿があり、とても味わいのある物語になりました。
今年のクリスマスは、子ども達ができるだけ緊張をせずに済むように、舞台を出さず、幕の開け閉めもなく、いつも通りのその子らしさを、さりげなく見てもらえるようにしましたが、その方針は私自身にも影響し、「台詞が上手に言えるかどうか」「聞こえるように大きい声が出せるか」なんてことはどうでもよく、「皆がそこにいて、嬉しそうにページェントをしている」ということに唯々感動しながら観ることができました。
その気持ちを共有したくて、終わった後で話をすると、劇の間ずっと子ども達の側にいた古賀先生も同じように感じていたらしく、「これまでと違って、全く緊張なし!いつもの姿でしたね!」と笑っていました。
さて、3学期が始まってすぐ、あるお母さんと卒園児のことで立ち話をしました。
今年度に入って学校生活がキツくなってしまい、足が向かない日が多くなっている様子を、時々お母さんから聞いていましたが、「今週は全部行けました!」と言う嬉しい報告でした。
「そうですか。凄いじゃないですか!」「はい、よかったです。」と一緒に喜びましたが、私が「でも、頑張ったねとか、この調子で頑張ろうとか、あんまり力を入れて喜ばない方がいいかもしれませんね。
〝頑張らんといかん!〟とプレッシャーになるといけないので…」というと、「そうなんですよ。〝しれっとしときます!〟」と笑っていらっしゃいました。
ところで、この「しれっと」という言葉、皆さんはご存知ですか?
「こっそり」「何食わぬ顔で」「すまして」等、平然と素知らぬふりをしていることを指す言葉ですね。
「あげん怒られよったとに、しれっとしとるねぇ。」「気にしなさんな。しれーっとしとかんね。」のように使いますが、私はよく使うわりに、実はしれっとしておくのがとても苦手です。
いろいろな刺激に敏感に反応してしまい、すぐに熱くなったりがっかりしたり、何気なくふるまうことができません。
どうにも〝しれっとしとききらん〟とです。
でも、子どもと関わっていると、しれっとしておく方がいい場合がありますね。
発表会しかり、苦手な場面や何かに失敗したときしかりです。
頑張れモードの熱い視線を浴びると、逆に調子を崩してしまう子どもがたくさんいます。
私もよくそうなりがちですが、〝もっともっと〟と求めてしまう人は要注意。
そんな性分の人は、そっと見守るだけ、よけいなことは言わない方がいい時は、しれっとしておく努力をしなければなりません。
皆さんはいかがでしょうか?
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