こどもの眼 9月号 園長 早川 成
「こどもの眼」
~ 挑戦!! ~
園長 早川 成
夏休み明けの始園日に、やって来る子ども達を迎えていて、特に年長さんの背が伸びていることに驚かされました。
いつもそばで見ているご家族は気づかないかもしれませんが、ちょっと見ない間にこんなに成長するかと思うほど、ひと回り大きくなっているのが目に見えてわかります。
お休み中、何して遊んだのかな?どこかにお出かけしたかな?と、思いを巡らせています。
6月の終わりに、卒園児の親子と話をしていて、食べすぎ飲みすぎでお腹が出てきて困っているという話になりました。
すると、その子が「ダイエットすればいいやん」と言って、自作のダイエットプログラムを紙に書いてくれました。
一生懸命に考えて、出来上がったものを手渡されたので見てみると、在園中、運動遊びや体育教室でするような平均台や跳び箱やマットを並べたサーキットが組んであって笑えました。
よく見ると、3種類のサーキットにはそれぞれのゴールに先生がいて、「いまむらせんせい、ゆうかせんせい、こがせんせい おねがい。」と書いてあります。
お分かりですか?私がさぼらないように見張りが立っているのです。
なかなかに厳しいダイエットだなぁと楽しみながら読んでいると、「だいえっとぷろぐらむ」というタイトルに続けて〝約束ごと〟が書いてあるのが目に入りました。その約束とは、
1.だらんとしない
2.やめない
3.ぐずらない
…という、厳しく説得力のあるものです。
これだけでも十分笑えますが、お母さんがそれをみて「私からいつも言われていることですね」と言ったのには更に大笑いました。
ひとしきり笑った後、お母さんからひらがなをこんなに一生懸命に、たくさん書くのを初めてみましたと聞き、「小学生になったんだなぁ」と、しみじみ思いました。
そして更に、その時は気が付かなかったのですが、あとでもう一度読み直してみると、プログラムの裏に、さりげなく「がんばてね」と励ましの言葉が書いてありました。
その子のこれまでの経験と、性格と、卒園後の成長と希望がいっぱい詰まっているダイエットプログラムです。
暖かくてユーモアにあふれる素敵なプレゼントになりました。
年長さんや卒園児さんの成長は大きな喜びですが、またひと回り大きくなったお腹をさすりながら、この年になっての成長?は、いろいろと困ったことにもなりそうなので、ちょっと本気で頑張らないといけないなぁと思っているところです。
さて、昨年の夏休みに教会の解体工事が行われました。
1年前の通信(9月号)を読み返すと、教会と共に72年の年月を歩んできた歴史を振り返り、諏訪野町から野中町に移転してきた43年前を思い起こしながら、これから先についての決意や夢について書いていました。
それから1年経った今、先日ご報告しましたように、新しい園舎の建築にたどり着くことができました。
こども園の類型変更と定員増の申請の結果は現時点では未定ですが、天使こども園にとって73年目の節目に、新しい大きな一歩を踏み出すことになりました。
前進できることの喜びと期待に胸が高まる一方で、新しいことに挑戦する緊張や不安も確かにあります。
しかし、最初に認定こども園の申請を決めた2012年からこの10年、将来構想を描きながら、一歩また一歩と進んできたことが、今につながっていることは確かです。
夢を持つこと、目標を掲げること、チャンスを見逃がさないように活かすこと、いろいろなことに〝挑戦〟することが、確実にとまではいかなくても、着実に次につながるという手応えを感じています。
そういえば、2013年度の年間テーマに「3つのC」(チャレンジ・クリエイト・コミュニケーション)という言葉を選んだことがあります。
私の印象では、3つのCは横並びではなく、クリエイト(創造する・創り出す)と、コミュニケーション(意志の伝え合い・交流)がチャレンジ(挑戦)を支えているように思います。
こどもに例えると、何かを産み出したり創り上げたりする〝楽しみ〟と、思いを伝え合い一緒に楽しむ仲間がいる〝安心感〟が、初めての事や困難にチャレンジする意欲や勇気の基になっていると思うのです。
自分の意志ではなく、誰かに〝しなさい〟と言われ、〝させられた〟と感じることばかりでは〝挑戦〟の面白さを味わうことができず、喜びも得ることはできません。
2学期が始まってすぐのある朝、年長さんの男の子が門にやってきました。以下そのときのやりとりです。
「今日、なんでスイミングお休みするでしょうか?」「どこかにお出かけする?」「ブブー」「身体の調子が悪い?」「違いまーす。」「正解は〝行きたくないから〟でーす!」
私は答えを聞いてホッとしました。
〝行きたくない〟ということをちゃんとお家の人に言って休むことになったと思ったからです。
子ども達の心の中では大小様々な挑戦が日々繰り返されています。そのためのエネルギーは溜まっているか?楽しみや安心感がどれぐらい持てているか、私達は常に気に掛けておきたいと思います。
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