天使こども園ニュース

こどもの眼 3月号 園長 早川 成

  • 2022.03.01
  • 園長

「こどもの眼」~ 童心を育てる ~ 園長 早川 成

3学期も残りわずかだというのに子ども達と思うように遊べず、もどかしい毎日です。
園庭で遊んでいる子ども達を眺めながら、「今年最大の出来事は教会がなくなったことだなぁ。」と思っていると、年長組の男の子が「教会が無くなったら、鐘はどうすると?」と聞いてきたことを思い出しました。
私の複雑な心境をひとことで言い当てていることに感心してしまいます。
また、探し物をしていて、年長の男の子から預かった手紙を見つけました。
クリスマスの祝会に来てくれたサンタさんに渡して欲しいと頼まれた手紙です。
サンタの折り紙に、「さんたさん、ぷれぜんとありがとう。おうちにもきてね。どらもりのまえ。」と書いてあります。
お礼の言葉だけでなく、これでおしまいにしないでよという念押しと、場所の説明が添えてあるところに年長さんの成長を感じる素敵な手紙です。
サンタさんには悪いのですが、私への嬉しいプレゼントにしてしまいました。どちらの出来事にも子ども達の感性の鋭さ、そして豊かさを感じます。
話は変わりますが、昨年のショパン国際ピアノコンクールで2位に入賞したピアニストの反田恭平さんの座右の銘は「童心を忘れない」だそうです。
4歳でピアノを習い始めた時、出会った先生に「まずは好きに弾いてごらん」と言われ、ピアノをおもちゃにして楽しんでいた幼少期の記憶。運動会の大縄跳びを皆で楽しんだ懐かしい思い出。
そんな過去の体験が自分の演奏には絶対に必要で「童心を忘れたくない。いつまでもどこか『こども』でありたい」と語っています。
また、引退した体操の内村航平さんは、東京五輪の予選敗退の時、インタビューでは失望の中にも体操の楽しさと奥深さに触れ、「今までで一番嬉しかったのは小学校1年で蹴上がりができた時。
リオ五輪の団体で金メダルをとった時でさえ、初めて蹴上がりができた時の喜びを超えられないと言っていました。
さて、今私達の目の前にいる子どもたちにはどのような〝童心〟が育っているでしょう?
大人になるまで忘れずにいられるような童心、疲れたり悩んだりした時に思い返すと元気が出るような童心、そんな童心を育てることができているでしょうか?この時期、そんなことを考えて過ごしています。
昨年の3月、年中さん(今の年長さん)に鐘鳴らし当番の引継ぎをしました。
事故で亡くなった園児のおじいちゃんが贈ってくれた鐘で、今ではそのおじいちゃんも天国で鐘の音を聞いてくれていることを伝えると、話を終えた後、一人の男の子が私のところに走ってきて笑顔で言いました。
「園長先生が死んだときも鐘鳴らしてあげるからね!」
優しくて、おおらかな心が育っていて嬉しくなります。
15年後、彼らと焚火を囲み、思い出話をしながら、皆で(私も)童心にかえってお酒を飲むのを楽しみにしています。
天国はもうちょっと先の予定です。(笑)

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