天使こども園ニュース

こどもの眼7月号 園長 早川 成

  • 2018.07.12
  • 園長

「こどもの眼」
~ どっちを選ぶ? ~ 
園長 早川 成

いつも天気に脅かされている年長組のキャンプを、今年は思い切って一ケ月早めたら、例年より早く梅雨入りしてしまいました。(何で?)
梅雨が明けたかのように良い天気が続いていたのに、年中組のお泊り会を目前にして週間天気予報に雨マークが現れ、当日は朝から大雨洪水警報に竜巻注意報のオマケまでついて来る始末。(どうして?)
「晴れ男」で通っていたのに、幼稚園で働くようになってからは、いつしか「先生、雨男ですか?」と疑われるようになり、行事のたびに雨が降るという悲運に見舞われ続けるうちに、疑う余地もなく「雨男」と言われるようになり、いつの間にか自他ともに認める「雨男」になってしまいました。そして、その後も長い年月をかけ、雨男としての努力?を積み重ね、お陰様で今や正真正銘、筋金入りの「雨男」として活躍しています。…と、冗談のようにサラっと言ってのけることができるようになりましたが、今だからこそ言うと、実は最初のうちは、「雨男」と言われるのが自分でも意外に思う程辛く、「違います!私は晴れ男なんですよ」とか「もし本当にそうなら干ばつで苦しんでいる国にボランティアに行きますよ」とか、笑って返しながらも内心では、悔しい思いをしていたんです。だって、ご存知のように、行事となると子どもたちに負けないぐらいテンションが上がる性質なんですから、雨で中止になるなんて耐えられません。ましてやそれが自分のせいだなんて…あんまりです。ところが、実績というのは怖いものですね。だんだんと自分でも「もしかして本当に雨男なんじゃないか?」「この現実を受け入れないといけないんじゃないか?」と思うようになり、「よし、こうなったら開き直ってしまおう。これからは雨男として生きていこう!」と決意をしました。不思議なもので、そうすると気持ちが楽になり、「雨男なんて中途半端なもんじゃないですよ。〝嵐を呼ぶ男〟って呼んで下さい!」と自分から言うようになったのでした。そうなると、皆さんの反応や周囲の眼も変わってきます。先日のお泊り会初日の朝も、どしゃぶりの雨の中、門に立っていると、「先生、期待を裏切りませんね!」と励ましの言葉?をいただき、「さすがですね!」とお褒めの言葉?もいただき、調子に乗りすぎだと自覚しつつも、「わかりますか?私、持ってるんですよ!」と返させていただいたのでした。
さて、ダラダラと私の「雨男遍歴」をご紹介したのは他でもありません、行事の日程と当日の天気に関しては、最初に書いたように、〝選んだ方が裏目にでる〟ようになってしまいましたが、気持ちの持ちようによっては腹が座るというか、落ち込むより前向きになれるということをお伝えしたかったからです。「えっ、また?」「これでもか!」というぐらいの目にあってもくじけずに、その都度できることを考え、予測のつかない結果にクヨクヨするよりは、その時々に最良と思われる判断をし、そのことに最善を尽くすことが大切であるということを学びました。つまり、「どちらを選ぶか?」ではなく、「自信をもって選ぶこと」「選んだ結果に向き合うこと」を心掛けていると、結果としては悔いが残るよりはむしろ得るものがあるという経験をすることができています。前述のキャンプも期間中天気が崩れる予報だったにも関わらず、結果的には川遊びもファイヤーもナイトハイクも予定通り終えることができ、お泊り会は午前中激しく振っていた雨が午後にはカラっとあがり、野外調理のカレーも花火も存分に楽しむことができました。朝の門では「大丈夫、焚火も花火も雨の中でもやりますから…」「見てて下さい。後半アディショナルタイムに逆転しますよ!」と笑って言っていましたがまさにその通りの結果となりました。次の朝お迎えに来たお母さんが「天気が気にならなくなっています。」と言って笑っていましたが、教師集団だけでなく保護者の皆さんも随分とイレギュラーやアクシデントに慣れ、「いざとなったらやるだけやる」「決めたことには腹をくくる」「転んでもただでは起きない」の精神が根付きつつあるのは嬉しい限りです。
7月に入ります。夏を目の前に、まだもう少し梅雨が続くでしょうか?この時期、大人には憂鬱な毎日ですが、子ども達にとっては嬉しいことが一杯です。何といっても園庭には大好きな水たまりがいくつもでき、雨上がりにはわざわざバケツで水を運んでこなくても泥んこ遊びがやり放題の魅力的な環境です。子ども達が園庭を歩いて行く姿を意識して見てみてください。水たまりを〝選んで〟歩いて行く子がほとんどです。「長靴だから大丈夫!」という気持ちでしょうか?「どれぐらい深いかな?」という興味でしょうか?「濡れないかな?濡れるかな?」というスリルでしょうか?理由は何にしても「楽しいこと」であることは間違いないでしょう。もしかしたら本能的に水たまりを選ぶ?またはそれが癖になっている子もいるかもしれませんね。だとしたら、園長としてとても嬉しく思います。水たまりを選んで歩くか避けて通るか?これは意外と大事なことだと思います。避けて歩くのが悪いということでは決してありません。いや、避けるのが普通であり、それがしつけであるという人もいるでしょう。でも、私は何かを決めたり選んだりするときに「面白いかどうか?」を基準にすることが特に子どもの時期には必要だと思っています。濡れたらどうする?汚れたら大変!転んだら一大事…と教え、いわゆる先を見通し結果を予測して行動することを身に付けるのは大人になるうえで大事なことですが、「こうしたら、こうなった」「そうなったときにどうするか?」ということを前もって教えたり、先にしつけをしてしまっては、選ぶ基準も決まってしまいますし、イレギュラーや理不尽を経験した時に、どうしていいかわからなくなってしまうと思うのです。
晴れを期待して一大イベントを計画しても、よりによって台風が来ることがあります。ずっと前から楽しみにしていたのに「まさかの熱発!」なんてこともよくあることでしょう。この「よりによって」や「まさか」が、二度三度で済まないような目に合うことだってあるんです。〝どちらを選ぶか?〟より〝決めたら進む〟〝その度に選ぶ〟ことが大事なのではないかと、思っています。子どもたちには〝自分で選ぶこと〟をたくさん経験して育って行って欲しいと思っています。

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