天使こども園ニュース

こどもの眼 6月号 園長 早川 成

  • 2021.06.04
  • 園長

「こどもの眼」
~ あたりまえ? ~ 
園長 早川 成

ある朝のこと、一人のお母さんと門でお話をしました。
お家で子ども達が遊んでいるときに、年中さんの弟が、お姉さん(卒園児)の言うことやすることに「いいねぇ!」と何度も言っていて、それを聞いていたお父さんが、「天使にしてよかった…」としみじみと言っていたというご報告でした。
お母さんは、「担任の先生の言葉がしみ込んでいるみたいで。」と笑っていましたが、それを聞いて、私はとても嬉しく思いました。
姉弟の「いいねぇ!」のやりとり、それを見ているお父さんの感想、ご夫婦の会話…、温かい雰囲気が伝わってきます。
教師の言葉が子ども達に届いていること、私達が大切にしていることがご両親に伝わっていることをとても嬉しく思います。久しぶりの立ち話が楽しく、いい一日のスタートでした。
さて、5月の連休明け、年長さんと森に遊びに行きました。
緊急事態宣言の直前でもあり、思い立って、試しにバスの中を「おしゃべり禁止」にしてみることにしました。
バスの中で「しゃべってはいけない」なんてことは、これまで一度もありません。
ですので、子ども達には悪いのですが、私としてはちょっとした実験のような気持ちで、どうなるか見守ることにしました。
さて結果は…。
出発後、最初は神妙な顔をしていましたが、高屋敷の交差点を過ぎたあたりでしゃべり始めたのには思わず笑ってしまいそうでしたが、「しゃべらない約束だよね!」と念を押されると自覚が促され、少しずつ静かになり始めました。
そして、しばらくすると、表情が暗くなってきて、みるみる元気がなくなってしまいました。
到着まで30分弱の「おしゃべり禁止」は、彼らにとって、息をしてはいけないぐらい辛い時間のようでした。
当園ではバスの中も、給食の時間も、おしゃべりを楽しみながら過ごすのが普通ですが、普段から車中ではおしゃべりをせず、給食も黙って食べている園もあるでしょう。
〝あたりまえ〟が違うのです。
天使の子たちは、水たまりがあれば入り、木があれば登り、ものが落ちていれば拾うのが当たり前。
私たちにとっては、雨上がりに泥んこになって遊ぶのは見慣れた光景ですが、雨上がりは園庭が乾くまで外で遊べないきまり、砂場は水を入れて濡らしてはいけないルールのところもあるようです。
〝あたりまえ〟がこれだけ違えば、育ち方も、育つ力も、おそらく違ってくるはずです。
何が正しいか、どれを優先するか、どう教えるかも、議論が分かれるところでしょう。
もちろん天使でも、やりたい放題ではありません。
わきまえやルールは必要だと思っていますが、私はそれを禁止や強制で身につけさせたいとは思いません。「いいねぇ!」で育てるのを、天使こども園の〝あたりまえ〟にしたいと思っています。

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