こどもの眼 12月 園長 早川 成
「こどもの眼」~ 大人の都合、こどもの言い分 ~
園長 早川 成
「園長先生、頭が変になっとる!」
朝、バスから降りてきた子に顔を見るなりそう言われ、「そうなんよ。ここのところ忙しくて、ちょっとおかしく
なってるんだよね」って言いたくなるほど大忙しの十一月でした。
(おわかりでしょうが、散髪して髪型が変わっているのを笑っての一言です。)
1日の入園願書受付から3日のバザーと続き、その後も保育に入る機会がとにかく多くあって嬉しい悲鳴をあげて
いました。
第一週は年中組の森遊びに続いて、年長・年少の芋ほり2連発。
日曜参観(作品展)を挟んで、第二週は出張、バザー反省会、年長組の高良山登山、年少組の運動遊び。
第三週はアドベント礼拝に始まって、年中・あひる・年長組の焼き芋3連発の後、年少運動遊びにPTA研修会。
そして最後の四週目は、誕生日会、年中・年少の高良山2連発、年長の焚火鍋、そしてこひつじ・年少の焼き芋
2連発…という毎日でした。
大変だと感じるのは、仕事量の多さや時間的な忙しさではありません。内容がバラバラなので頭のチャンネルの
切り替えが難しいのです。記憶力や処理能力が落ちているので、数年前まで何でもなかったことにてんてこ舞いして
しまうことが増えてきています。
とはいえ、大変なのは私の都合で、こども達にとっては、楽しく嬉しい保育が盛りだくさんの毎日だったと思います。農園のさつま芋も苦労のかいあって例年より大きく、焚火での天使流鉄板焼き芋はホイルで包むより目で見て楽しく、食べておいしく、大喜びの子ども達でした。
山道を歩くのも、森の中で遊ぶのも、どんどん上手になっていますよ。
最初の頃は「どこに行く?」「何がある?」「どうやって遊ぶ?」の未知の世界に不安で一杯だった子ども達が、
経験を繰り返すうちにだんだんと「もっとやりたい!」「また行こう!」「次はこうしたい!」と進化し、
嬉々として遊ぶ姿をとても頼もしく思います。
お伝えしていた通り、今年度は子ども達の意欲や主体性をより育てることを目標にしていますが、2学期の終わりを
目前にして、手応えを感じているところです。
さて、最近こども達と話をしていると「どうして?」と問われることが多くなってきています。
例えば、「どうして園長先生になったと?」というような質問です。
答えを期待して「何でだと思う?」と問い返すと、「楽しいから!」「遊びたいから!」「こどもが好きだから!」
という返事が返ってきました。
(なかなかいい線いっていますよね?そんな風に思ってくれているというのが嬉しいです!)
中でも面白かったのは、私がどうして太っているのかという質問です。
「園長先生は、どうして太ってるの?」
「どうしてだと思う?」「たくさん食べるから!」
「じゃあ、なんでたくさん食べるんでしょ?」「大人だから」
「お腹が減るから」
「では、どうしてお腹が減るのでしょうか?」
「食いしん坊だから!」
「たくさん遊ぶから?」
するとある子が言いました。
「遊んでないよ!門にいるだけやん!」
問答の結果、結論は、
1.園長先生はちょっとしか遊ばないのにたくさん食べるから太る。
2.みんな(子ども達)はたくさん遊ぶのに、ちょっとしか食べないから太らない。
というオチで落ち着いたのでした。
こどもの思考って面白いですね。
大人には、余裕がなく子どもの言うことに構っていられないこともままありますが、ほっかり癒されることも多くあります。
ある日、門に遊びに来た女の子が言いました。
「私のお母さんは小学校の先生。お父さんは消防士!」
すると隣にいた男の子も負けじと言いました。「オレのお父さんとお母さん、めっちゃおこりんぼうばい!」
長かった2学期も残りひと月となりました。
忙しいときは大人の都合と子どもの言い分がぶつかる時もありますが、「忙」の字のごとく、心を亡くしそうになっているときに救ってくれた子ども達の言葉や笑顔を思い出しながら、新しい年を迎える準備をしたいとます。
どうぞ良い年をお迎え下さい。
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