こどもの眼 11月号 園長 早川 成
「こどもの眼」~ こどもを生きる ~
園長 早川 成
「こどもは、こどもの時期に、こどもをするということが豊かなこと。小さい時に見た風景は、これから先、生きていくための大きなエネルギーになる。」
建築家の安藤忠雄さんの言葉です。
私も同感で、〝こども時代をどう過ごすか〟が、こどもの将来に大きく影響すると強く思っています。
今年度、年長さんは森で〝秘密基地づくり〟に挑戦しています。
先日その3回目に行きましたが、これまでに比べ、かなりイメージができてきました。
まず初回は、どんな基地を作りたいかを話し合って、場所を決めることから始めましたが、皆が言いたいことを言い、思い思いに動き、話し合うことも、決めることもなかなかできず、らいおん組は何とか場所を決めてロープを張りましたが、りす組はあれこれ考えているうちに終わってしまいました。
2回目は、基地づくりの材料を見せて、どう使うかを任せてみました。
子ども達は大喜びで飛びついたものの、それぞれ思いのままに使おうとするので、板をベッドにしたい、いやテーブルにしたいと取り合いになったり、収穫かごを並べてテーブルにしようとする子と、座って自分の椅子にしようとする子がいたりとバラバラです。
今度はりす組の場所は決まったものの、らいおん組はもめている間に帰る時間になってしまいました。
そして今回、事前に「園長スペシャル」で秘密基地づくりのポイントを整理しました。
1.遊ぶ場所、2.集まる場所、3.秘密の場所の三つです。
同じ場所に全部盛り込むと狭くなるので、1と2を別の場所に作ることや、作業を分けたり役割分担したりすることを勧めてみました。
また、2に机や椅子やベッドを置きたいのはわかるのですが、クラス全員がくつろぐには材料も広さも足りないので、ブルーシートをプレゼントすることを約束しました。
3については、宝物を隠したり、中に入る時に仲間かどうかを確かめる合言葉を決めたりしてはと提案してみました。
その話を聞いた上で、担任とみんなで話し合って森に行った結果、両クラスともに、することの見つからない子や、意欲が持てない子がいなくなり、それぞれに基地づくりに取り組んでいました。
ブルーシートを敷きものとして使うか屋根に使うかを随分迷って決めたと聞いていましたので、「特別大サービスで2枚ずつプレゼントします!」と発表した時の喜びようは相当なものでした。
更に「オマケとして基地を掃除するのに竹の熊手ぼうきを2本ずつ付けます。」と言うと歓声が上がりました。
今どき、ブルーシートや熊手ぼうきをもらって大喜びする子ども達ってなかなかいませんよ。
何だかいいと思いませんか?私は、とてもほっこりしていい気持ちになりました。
秘密基地づくり、最高です。
〝こどもを生きる〟って、難しいことではなく、まずはこういうことからなんじゃないかなぁとつくづく思います。
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